第 64回 神奈川県PTA大会
令和4年度11月10日(木) 午後
大和市 シリウス・やまと芸術文化ホール
県PTA広報紙コンクール表彰式では、最優秀賞を受賞された桜小広報委員長の高橋 香夕さんがとてもしっかりとしたスピーチをされました。
基調講演 レポート by櫻井会長
横浜市教育委員会 人権教育・児童生徒課
カウンセラー統括 松阪 秀雄 氏
『子どもたちが自分らしくあるために、保護者としてできること』
〜メンタライジング能力を育てる関わり〜
以前の県P大会の基調講演でも大好評だった、松坂桃李さんのお父上でもある松阪秀雄先生の講演です。
先生のご専門の心理学と心の病に正面から取り組んでいるお医者さまからのお話しも取り入れての講演とあり、とても興味を持って席に座りました。
また、どうやって松坂桃李さんのように才能を発揮できたお子さんを育てられたのか、これもとても興味があります。
まず、自分らしさとは、、、
・人が決めるものではない
・人どれぞれ〜多様なあり方
・自分で感じるもの
「自分らしくいられる」時に感じる感覚は『楽な感じ』
思いや動きがスムースで、気持ちがのびのびしている感じ
それをやっていて楽しい感じ
別の角度から言えば『等身大』
自分を過大評価しない、過小評価もしない
〜あるがままの自分でいられる〜
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ここまで聞いて、ちょっと不安に思いました。
ひょっとしたら子どもに「過大評価、過小評価」してないか、、、
子どもが自分らしく生きれるように育てられているのだろうか、、、
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ここで先生から松坂桃李さんの子育ての話しもありました。先生は「ありのままでいい。何も足さなくていい、何も引かなくていい」と、自分らしく生きるように育てたそうです。
そうすると、子どもたちは人に言われてではなく、自分で自分らしさを感じながら、それを頼りに自分らしくいられる生き方を選び取っていけるようになる。
〜最も大切なこと〜
自分で自分らしさを感じられること
子どもは自分一人では、自分の心で感じていることを感じ取れない。親がそばにいて子供が感じていることを感じ取って伝え返してあげることで初めて、こどもは自分の心で感じていることがわかるようになる。
つまり、親が「子どもの心を感じ取る感受性」が大切です。この養育者の持つそういった能力をメンタライぜーションというそうです。
そして子どもへの「愛着」は子どもにとっての安全基地。その安心感が子どもの「やってみよう」というチャレンジ精神を育む。「こころに関する適切な発言」の割合が多い子どもは6ヶ月の「愛着」の安定感が強まっている。
つまり、これこそが親と子どもの「絆」。すなわちメンタライぜーションは絆を強くする、ということなのです。
そしてここからは子どもの心の病の話。
外傷的な育ちに向き合うお医者さまのお話しが加わります。
子どもの健康的なメンタライズは親の「感受性」を持って寄り添うこと、健康的なミラーリングで育むそうです。
子どもと同一化しすぎず、子どもがその感覚が何なのかを自分で理解していけるようにある程度咀嚼しながら伝えていくことを健康的なミラーリングというそうです。そうする事でメンタライズする=自分の中に生まれる苦痛や不快感もコントロールできる能力が身につくそうです。
逆に、子どもの気持ちに即してない感情表現や無視などの不健康なミラーリングを行なっていくと、子どもはメンタライズもうまくいかず、感情のコントロールがしにくくなるそうです。これは外傷的な育ちと言い、恐怖心を持ちやすくちょっとしたことで破壊的行動に出る、いわゆる「キレやすい」人になりやすい傾向があります。
このお医者さまの話では、こうした外傷的な育ちをした人には粘り強くメンタライジング力を育てる必要があるそうです。実情に沿ったミラーリングを繰り返していくことで、心の落ち着きを取り戻していき自分の中に生まれる苦痛や不快感もコントロールできる能力を高めていけるのです。
メンタライジングを促す親側の訓練
「なぜ○○だと思ったの」「なぜそうしようと思ったの」
そう言った聞き方は「問い詰め」となり、子どもは身構えてしまいます。
身構えさせない聞き方を身につける、普段からの関係性を作っておくことが大事。
「そんな状況だったら私は○○するけど、あなたはどうだった?」
など。
承認欲求が深い、底なしだと感じる患者さんからの手紙。
「承認欲求の底って?」
先生の答えは、それは親が最初にくれる
「あなたは無条件にありのままに生きていいんだよ」
という承認だそうです。
それが承認欲求の底になるそうです。
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子どもを自分らしく生きるように育てるには、親が子どもに「愛着」を持って寄り添いながら、子どもの自分らしさを育てていく必要があるそうです。そうすれば子どもは生活や成長の中でさまざまなチャレンジをして、自分らしさを感じ取っていくことができるということです。子どもに対して決して早わかりせず、『知ろう、尋ねよう、理解しよう』という姿勢を取れる「感受性の高い」親になりたい、と思いました。
そして「ありのままでいい。何も足さなくていい、何も引かなくていい」と伝えてあげようと思いました。
子どものこころに寄り添うことが親子の「こころの絆」を深くする。
とても良いお話しを聞くことができました。